触ることからはじめよう
by skyalley
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
誕生に立ち会う

お弟子さんの一人にマイム役者の小野寺修二さんがいます
つれあいの藤田桃子さんと男性3人でマイム集団「水と油」を結成し
約10年間国内外で活躍してきて数々の受賞にも恵まれました

私は舞台のプロデューサーを務めるオットを通して小野寺さんと知り合い
それから桃子さんと知り合いました
特に桃子さんのお母さんが
長年私の教室で書を学んでいらっしゃった藤田久子さんであることが
偶然にわかって以来
修二さん・桃子さんをますます近しく親しく感じてきました

今年の4月「水と油」が充電を目的に休業に入ったのをきっかけに
修二さんは9月から文化庁の奨学金制度を利用しフランスへ行き
彼の地での演劇世界探訪・体験留学を予定しています
その準備として彼は私と一緒にフランス語の勉強を始めました
一人旅立つ修二さんとは別に
桃子さんも劇団の解散後 ご自分の道を歩み始めることになりました

最近勉強に見える修二さんが何となくそわそわし出したと思ったら
桃子さんが解散後初めての舞台に立つとのこと
それも「立つ女」という題の作品です
10年間台詞のないマイム役者であった桃子さんが舞台で言葉を使う 
という初めての試みでもあることが
演出協力をしている彼を更に緊張させているようす

彼が「立つ女」のちらしを持ってきてくれました
裏を返すと桃子さんが書かれたという文が端に小さく印字されていました



家を出る

すたすた歩く

立ち止まる

手を伸ばして花をつかむ

じっと見るじっと嗅ぐじっと入る

唐突に

花びらをむしる

一枚一枚一枚むしる

全てをさらい葉と茎と緑にする

また歩く

歩きはいくぶん緩くなる
 



何が言いたいのだか全然わからないまま それでも
「立つ」ことを決め
立とうとしている真っただなかの桃子さんを感じて
読み終えるとある種の力が感じられました

「いいね これ 好き」と修二さんに言うと
「そうですかぁ みんなに何だからわかんないって言われて
 辞めたらって言っても本人言うこと聞かなくて
 載せる って」
「そうかな いいよこれ 好きだな
 何をしたいのか全然わからないけれど
 読んでいるうちにだんだんと桃ちゃんが立ち上がっていく姿が
 この文章から見えたもの」
「そうですかぁ」

自身の公演より端で観ている方がよっぽど緊張するらしい修二さんですが
長年一緒に演じてきたパートナーの独立公演の稽古に毎回出て
桃子さんの新たな力を見直しているのも明らかでした
私の意見など何のこともないはずなのに
「そうですかぁ よかったぁ どうなっちゃうのかなぁ って・・・」と
まんざらでもなくうれしい様子でした

翌週勉強に見えた修二さんが
「桃ちゃんが ぜひ観に来て欲しい って言ってました
 あの言葉を褒められたのがうれしかったらしくて
 ぜひ観に来て欲しいって」と誘ってくれました

昨夜オットと劇団四季のCatsをずっと公演している大きくモダンな芝居小屋
の近くにある小きなレトロの工場跡「アトリエヘリコプター」へ
「立つ女」を観にでかけました

1時間15分ほどの上演時間
桃子さんが芝居を通して何をしたいのか
何を伝えたいのか結局私にはわかりませんでした
それに桃子さん自身にもまだ分かっていないことかも知れません
あるいは一生分からないことかも知れません
けれど10年間出演者として作品に登場してきた立場の桃子さんが
自身の企画で
自身の言葉で
「今自分がおもしろいと思うこと 試したかったこと」(プログラムから)を
私たちに見える形にしてきた過程の桃子さんのエネルギーを感じて
新生桃子さん誕生の場にいられたことが何よりうれしいことでした

オットも同感だったようです
先日オットが参加させて頂いた舞台の役者である吉本由美さんと
三人でオットお薦めの焼羊屋さんで
それはそれはおいしい食事を愉しみ帰宅しました

つい二ヶ月前には初孫が生まれ
その誕生の場にいられたことはとてもうれしく思えたものです
修二さん同様 桃子さんにも
今の自分を面白いと思える力を蓄え
丈夫で元気に育ってほしいと願っています

「立つ女」は26日月曜日まで毎日上演されています
詳しいことは桃子さんのホームページ
http://www.geocities.jp/tokagemomo/をお訪ね下さい
by skyalley | 2006-06-23 12:41 | ひと
<< 「初恋のきた道」からきたこと 勉強に目覚めること >>