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先日「皇居 吹上御所の四季」というテレビ番組を観ました 江戸時代初期から庭園として整備・管理されてきた吹上御所 「できるだけ自然のままに」という昭和天皇のお考えで 昭和12年(1937)から庭園的な管理を止めた そのお陰で江戸時代から生き続ける巨樹や多様な動植物が生息する 他に類を見ない豊かな森へと変貌したのだそうです 御所の庭に入り 国立科学博物館から派遣された研究員の調査に添って 研究員自身の言葉と 局のナレーションが添えられ番組は進められました 植物は名誉研究員の近田文弘氏の調査と解説 御所の森の木の分布を調べ その分布様式を判断するコドラート調査により 写真のような生態系が展開していることが紹介されました 鬱蒼とした森の空に 大木が倒れた後に出来る空間大きな丸い穴を 「ギャップ」と呼ぶそうです その空き地を巡って様々な木がぐんぐんと伸びる様子を 近田研究員は解説していきます そのギャップを巡っての木々の生長について語る研究員の言葉 そしてそれを受けて語られるナレーションを聞いているうちに 私はあることが気になり出しました 曰く 「力関係 主導権 後継争い 隙あらば侵入して 森を支配 見えざる競争 夏 光を求めての木々達のせめぎあい 光を奪い合っている モチノキの横から侵入してきたイイギリ 若いケヤキに脅かされていた老スダジイ 侵入木は虎視眈々と後釜を狙っている・・・」 近田研究員はこの御所の森について 「人と自然の協同で作り上げてきた文化遺産」 「多くのことを語りかけてくれた」 「(クレーン車から見た)森の海の素晴らしい眺めに活力を感じます」 と感激し またナレーションも 「私達の想像を超えた奥深い生き物たちの世界」 「個性豊かに豊穣な森」 「自然の叡智」と称えているにもかかわらず 要所要所で語られた言葉は 森の木々が「我先に生きるための競争をしている」 という枠に嵌めて発せられているように感じられたのは 私だけでしょうか 1999年の暮れ 近所の都立病院の雑木林を散歩しているときに 見上げた空に 梢と梢の間にできている空間を見つけて大変不思議に思いました 木に詳しい友人や本などを訪ねて 木は互いの生長のために 彼らの方法でやりとりをしているということを やっと突き止め感動しました 以来 木々は 他者を押しのけてまで自分を伸ばそうとしているのではなく 「相敬互譲」の精神を持って 暮らしているのだということを 空を見上げ 木々の創り出す「路」を見るたびに実感しました 私自身の他者との関わりのお手本として その木の姿勢を写真に撮ってきました ですから 御所の森の美しさも「生存競争」によるのではないと 私は思いました 人間よりずっと長い歴史を生きてきた木を 人間の世界の尺度だけ捉えることはすまい 番組を観て考えたことでした
by skyalley
| 2011-05-29 20:24
| 空の路地
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