触ることからはじめよう
by skyalley
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「疑う人が好きだ」

J'aime les gens qui doutent.

Moi j'ai toujours des doutes et
je passe ma vie à les dépasser mais
j'essaie toujours de garder l'humilité.

Pour moi les gens qui doutent sont vraiment les êtres humains.


パリに40年以上暮らしている友人 m・p・パイヤール
元々はオットの仕事を通して出会ったひとだが
パリに行くたびに 宿を提供してくれ
私生活でもさまざまな影響を与えてくれた


その彼女に掛け軸に言葉を墨書して贈りたいので
どんな言葉が好きかを尋ねた
先に挙げたのが その返事だった
「私は疑う人が好き」


その理由として こう書き添えられていた
「私自身は いつも疑いをもって
 そしてそれを晴らしながら暮らしている
 いつも情を大切にしつつ」


「私にとっては 疑うひとが本当に人間らしい存在だ」と
彼女はよいものを よりよいことを素早く取り入れる
今までより 良いと 善いと思ったこと・ものは
すぐに取り入れて よりよくしようとする


「疑う」とは
「本当にこれが今できる最善か」と常に自問すること
そしてその疑いを
実人生で体現することによって晴らすことができる


前夜どんなに遅くても朝5時には起き
決まった朝食をとる
一年中 彼女は朝食を蝋燭の下でとる
目をつぶっていてもできることに電気は要らないから


彼女の家に泊めてもらうとき
明け方にトイレに起きると
蝋燭に照らされた彼女の後ろ姿が見える
本を片手に あるいはカップを片手に


その姿に憧れて 帰国すると
しばらくは蝋燭を点けてみるが一度も長続きしなかった
しかし震災後二ヶ月近く 
受業の間も書いたり 辞書を引いたりの作業が無いときには
お弟子さん達とも蝋燭の下で語り合っている



これでいいの? 本当にいいの? と疑う姿勢
この方がいい と判断したら迷わず取り入れる姿勢
要らない物は要らない とはっきり明示する姿勢
深刻なときに人生の可笑しさを見つけて笑える姿勢
6時には出勤し 8時までには自分の仕事を済ませ
他からの働きかけを受け入れる体制を整えている姿勢



日常と非日常が同一面にあるということを
震災を通して初めて知った とメールに書いて送ったら
「あなたの友人であることが誇らしい」と返事をくれた
そんなことをとっくに知って暮らしている人なのに
電話の最後に「日常を愉しんで」と明るい声で励ましてくれた



今 一番会いたいひとは「疑う人が好き」なひとだ
by skyalley | 2011-05-06 01:37 | BUTTON日記
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