触ることからはじめよう
by skyalley
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いつ どこから どのように 変わってしまったか


土曜日の夜
書とフランス語の学びに来られた絵美さんから
こんな話があり 一瞬胸が塞いだ


先日もまた人身事故で電車が遅れた
やっと出社してきた社員が
「今日は仕事をする気になれません」と洩らした
訊いてみると
事故で傷んだ遺体が検屍されている間
その一部始終を録画したり
カメラのシャッターを押す人たちの携帯電話が
電車のホームにずらりと並んで構えられていた
彼は足早に通り過ぎたものの
いたたまれなかった 
と 


今年の夏
私の家から駅へ向かう途中の家が漏電が原因で全焼した
あれほどの火事だったら
かなりのサイレンが聞こえてもおかしくはない近さであったが
風向きのせいだったのか
私は火事のことを全く知らずにいた



たまたま孫息子と自転車で用事を足しに出かけた途中
遠くに人だかりが見えた
何も気にせずに自転車を走らせると
黒こげの木の柱だけが残っている広大な焼け跡が現れた


どうしたの と問う孫息子にはその場では答えず
さっさと走りすぎたところで
動悸を抑えながら火事があったことを彼に話した
「かわいちょ〜ね〜
  もうおうちでアイスクリームたべられないねぇ」
3歳の子はそう言って同情した


「だれかのお家が火事になったときは
 見に行ったりしないよ
 お家のひとは とってもがっかりして
 とっても悲しいの
 だから見に行ったりしたらいけないね」と念を押した
孫息子は
「おうちでアイスクリームもうたべられなくて
 かなちいからねぇ わかった」と応えた


だいぶ経ってから そこを通りがかった
跡地は新地(さらち)のままだ
孫息子が 「あっ はっぱのあかちゃんがでてるよ!」
と声を上げた
よく見ると被災した屋敷跡の周囲に植えてあった木々の
焼けただれた葉の間から
すでに新芽が吹き出していた
by skyalley | 2009-10-18 22:18 | ひと
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