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鍼灸指圧マッサージの国家資格を取るべく この4月に専門学校に入学したオット 3日前から 入学以来初めての試験に臨んでいる オットは舞台の仕事をしてきた人間だ 直感力や 奇想性や 瞬発力 交渉力などを頼みに 誇りをもって 40年間務めてきた 数年前に緑内障を得たことで 今年初春 大転換を英断し 今までとはまったくちがう世界に身を投じた 資格を得るためには まず看護婦さんと同じほどの知識が不可欠だ 人間の体について ひたすら憶える 憶える 憶えるのみ 17歳で別府の実家を離れ 入学した大学のある大阪に暮らすようになった そのころのオットを実存としている彼の両親 学生生活を選んだことを とても案じていた 小学校の頃から数分しか机に座っていない すぐに飽きて 遊びにいってしまう そんな息子が 定年に近い年齢になって 医学を目指すなど それも5年間 毎日6時間の授業 父も母も 電話口でかなり辛口の忠告をしたようだ 昨夜 数時間自室に籠もって勉強をして 居間に現れたオット 「う〜〜〜ん この4月からずいぶんいっぱい いろんなこと 憶えた気がする・・・」 それは 私も認める 日毎に 私や娘に施術してくれる指圧の腕も上げているが 試験に備えて勉強する部屋には 別人のオットがいた 今朝 最後の試験日 まだ暗記できていない表があり それを手にひらひらさせながら 登校していった 半時したころ 電話が鳴った 8時半だ 今頃何だろう 訝しい思いで受話器を取ると 元気な声が飛んできた 「憶えたよ! 電車の中で ぜんぶ憶えたよ! もう少し 固めなくちゃならないとこあるけど 憶えたよ!!」 そろそろ60になろうとするオット クラスでは最年長 同級生に誘われて 試験後 カラオケと飲み会だそうだ ずっと睡眠3,4時間で勉強に努めてきた 若人とはちがって きっと一刻も早く帰って眠りたいだろうに 結果はどうでも みなと一緒に元気で試験を受けることができてよかった 今日の晴れやかな天気がどんなにか眩しかろう 夏休みは 那須の妹の家に滞在し 料理を作りながら勉強する と もう勝手に うれしそうに決めている
by skyalley
| 2009-06-12 11:04
| うちのひとびと
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