触ることからはじめよう
by skyalley
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カテゴリ:空の路地( 24 )
 三人のイラン人との散歩



パリの友人三人から
「友人三人が東京へ行くのでよろしくね」
というメールが届いたのは一ヶ月前
10日に東京に着いてからは日本人女性のガイドと共に
三人のそれぞれの関心を満たすような場所や人を訪ね
日々を満喫していた様子だ


東京での最後の日
私は彼らを砧公園に連れて行くことにした
日頃私が慣れ親しんでいる場所だ
そこでこころゆくまでくつろいでもらおうと
その日を心待ちにしていた


三人は70年代のイラン革命の時に亡命したと聞いていた
「亡命する」
  民族・宗教・思想・政治的意見の相違などから
  自国において迫害を受け
  または迫害を受ける危険があるために
  外国に逃れること(大辞林 第二版)


家族は世界中に離散したという
いったい祖国に対して 今どんな気持なのだろう
三人のうちの一人 女性のFatiは
 「イランでは行きたい学校がなかったので
  私はパリに 夫はドイツに留学した
  今となっては親しい人も もうイランにはいないから
  土地への恋しさはないの
  でも家族に会うのが何と言っても大変」と話してくれた

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現在
Fatiとご主人のHamidはロンドン郊外の町に
FatiのいとこのBijanはパリに
娘さんの一人はロンドンに 
もう一人の娘さんはニューヨークで暮らし
アメリカの市民権を取ったそうだ 


パリの三人から私がいつも「空の路地」を散歩をしながら
写真を撮っていることを すでに知っていた三人は
砧公園に入ると すぐに木々を仰いだ
Fatiが声を挙げた
「あら ユキコの路があるわ!」
HamidもBijanもすぐにカメラを向けた

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「イギリスで木のワークショップをしてね
 いつでも泊まりに来て 待ってるから」
「パリでもワークショップをしなさい 待っているよ」
別れ際にそう言い残して
東京での最後の行事 歌舞伎観劇へと去っていった
今日から京都 それから直島 金沢と回るそうだ


半日 とても短い時間だったけれど
すばらしい出会いを授けてくれたパリの友人たちに
この日の写真を何枚も送った
翌朝 さっそく一人から電話があり
二人からは「一緒に行きたかった」とメールが届いた


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離日した三人と
パリの三人とは
ロンドンの夫婦の家に集まって感謝祭を祝うそうだ
近くて遠い この地球の片隅には
友人の喜びを喜ぶ友人でいっぱいだ


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by skyalley | 2011-11-15 11:33 | 空の路地
吹上御所の森は「生存競争」の証だろうか
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先日「皇居 吹上御所の四季」というテレビ番組を観ました


江戸時代初期から庭園として整備・管理されてきた吹上御所
「できるだけ自然のままに」という昭和天皇のお考えで
昭和12年(1937)から庭園的な管理を止めた
そのお陰で江戸時代から生き続ける巨樹や多様な動植物が生息する
他に類を見ない豊かな森へと変貌したのだそうです


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御所の庭に入り
国立科学博物館から派遣された研究員の調査に添って
研究員自身の言葉と 局のナレーションが添えられ番組は進められました
植物は名誉研究員の近田文弘氏の調査と解説
御所の森の木の分布を調べ その分布様式を判断するコドラート調査により
写真のような生態系が展開していることが紹介されました


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鬱蒼とした森の空に 大木が倒れた後に出来る空間大きな丸い穴を
「ギャップ」と呼ぶそうです
その空き地を巡って様々な木がぐんぐんと伸びる様子を
近田研究員は解説していきます


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そのギャップを巡っての木々の生長について語る研究員の言葉 
そしてそれを受けて語られるナレーションを聞いているうちに
私はあることが気になり出しました
曰く

「力関係
 主導権
 後継争い
 隙あらば侵入して
 森を支配
 見えざる競争
 夏 光を求めての木々達のせめぎあい
 光を奪い合っている
 モチノキの横から侵入してきたイイギリ
 若いケヤキに脅かされていた老スダジイ
 侵入木は虎視眈々と後釜を狙っている・・・」


近田研究員はこの御所の森について
「人と自然の協同で作り上げてきた文化遺産」
「多くのことを語りかけてくれた」
「(クレーン車から見た)森の海の素晴らしい眺めに活力を感じます」
と感激し またナレーションも
「私達の想像を超えた奥深い生き物たちの世界」
「個性豊かに豊穣な森」
「自然の叡智」と称えているにもかかわらず
要所要所で語られた言葉は
森の木々が「我先に生きるための競争をしている」
という枠に嵌めて発せられているように感じられたのは
私だけでしょうか



1999年の暮れ
近所の都立病院の雑木林を散歩しているときに
見上げた空に 
梢と梢の間にできている空間を見つけて大変不思議に思いました
木に詳しい友人や本などを訪ねて
木は互いの生長のために 
彼らの方法でやりとりをしているということを
やっと突き止め感動しました


以来 木々は 
他者を押しのけてまで自分を伸ばそうとしているのではなく
「相敬互譲」の精神を持って 暮らしているのだということを
空を見上げ 木々の創り出す「路」を見るたびに実感しました
私自身の他者との関わりのお手本として 
その木の姿勢を写真に撮ってきました
ですから
御所の森の美しさも「生存競争」によるのではないと
私は思いました



人間よりずっと長い歴史を生きてきた木を
人間の世界の尺度だけ捉えることはすまい 
番組を観て考えたことでした


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by skyalley | 2011-05-29 20:24 | 空の路地
みえるもの と みえぬもの と

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戦争前にうまれたひとと
戦争後にうまれたひととが繋がる
そんな集まり「徳談会」を日曜日に無事終えられた


孫息子の颯太を保育園に早く迎えに行って砧公園へ
放たれた颯太は 走る 走る 転ぶ 笑う 
火曜日の昼過ぎ ひとはまばら


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見えないはずの空間に「みち」を見
名付けた「空の路地」の写真を撮りつつ散歩
4月で彼も5歳


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いっしょに「空の路地」に見入ったり
ブランコに乗りながら 
路地があることを教えてくれるようになった


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木々の梢は いまぐんぐんと水を吸い上げ
芽吹きのその瞬間を 今か今かと待ち構えている
ちょうど颯太が そうであるように


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by skyalley | 2011-02-10 09:54 | 空の路地
薄羽蜻蛉


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一面茶系の落ち葉で埋め尽くされた路を散歩していたら
何かが光った
近づいてみると ウスバカゲロウ(薄羽蜻蛉)が
風に短い触覚をそよがせている


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私は虫に詳しくないので
今頃 落ち葉の中に居ることが
彼らにとってどういうことなのかわからないが
美しい


初冬の薄い薄い陽射しが当たる枝の先で
羽を揃えて じっとしていた
硝子細工のように繊細であったが
ピンと伸ばしているにも拘わらず
うずくまっているようにも 背を丸めているように見えた


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頭上には空の路地が広がっていた


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by skyalley | 2010-12-11 21:56 | 空の路地
むすめむこ 


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世田谷育ちのひとが親しくしている砧公園へ
長野育ちの娘婿さんは行ったことが無い と言っていたので
今年の花見は彼をぜひ砧公園へ と決めて
那須から上京していた妹も含め7人ででかけた


日が差していなかったが 無風だったので
最初はまだ我慢ができたが 次第に土から冷えてきて
それにも関わらず人はどんどん増えてきたので
お弁当を食べ終わってから 長居をせずに引き上げた


それでも久しぶりに「空の路地」をたくさん撮れたし
荷物と共に先に公園に着いた娘婿さんに
「空の路地」を始め 公園のあちこちを案内できた
彼とつぶさに観察し 芽吹いていたある木をミズキと決めた

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娘とは交わしたことの無い類の話題だったのが
うれしいやら おかしいやら 





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娘という「面」の広がりを持つ一個の「点」が
むこさんというまた別の「面」を持つ「点」と結ばれた
その「面」を通し 
日頃から親しく関わることによって
関係は息をし始め
別の面を生じさせる
うれしいこと
たのしいこと
なにより ありがたいこと
by skyalley | 2010-04-05 00:23 | 空の路地
木に還る


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孫息子から娘
娘から私へ
新型インフルエンザに感染し
タミフルの強力な効き目も加わった体の傷から
ようやく快復期しつつあるところで
日曜日の徳談会を迎えた


おかげさまで
12月には望めないようなお日和に恵まれ
何とか今年の徳談会4回を無事に終えられることができた
ようやく気力の戻った水曜日
散歩の相棒 さこさんと
久しぶりに砧公園へ


やはり砧はいい
慣れ親しんだ木々
しばらく会わなかったうちに
すっかり様相が変わっていたが
それでもいつでもそこに在り
待っててくれている という夢を叶えてくれる


来年1月25日
駿河台の「文化学院」で90分の講義をさせて頂く
18歳から22歳までの約50名の学生さんのための授業
ふだんの教室での授業と違い
制限時間内に余裕を持って終わらせることは
初めてのことなので緊張している


若い人のための
一期一会の授業を
よりよきものにするため
始動しようと思っているが
今しばらく心身を休め・・・
と思っているうちに すでに1週間が過ぎた


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by skyalley | 2009-12-14 11:29 | 空の路地
2億年の いのちの連鎖



私の庭
砧公園での
散歩の帰り
突然イチョウが目の前に在り
胸を突かれた


イチョウは
約2億年前(古生代末期)に生まれた
雄花から飛んだ花粉が雌花に付くと 
精子が生まれ
精子は鞭毛を使って自力で卵まで泳いでいく


これを発見したのは日本人
若狭国(福井県)出身 平瀬作五郎さん (1856〜1925)
図工の先生をしていたが
1888年(明治21年)
帝国大学理科大学植物学教室に画工として勤務
そのかたわらイチョウのに関する研究をするうち
96年 精虫(精子)を発見した
世界の植物分類学会に大きな貢献をした



今でもこんな古い受精法を留めていて
現生する種子植物としては最古の部類に入ることから
「生きた化石」と呼ばれる



恐竜が跋扈した中生代(三畳紀・ジュラ紀・白亜紀)
イチョウの実は草食恐竜の格好の餌となり
恐竜によって各地に種蒔され
世界中で繁茂していた



白亜紀末に天変地異が起こり
地球の環境は激変
新生代を迎えると
イチョウも種蒔役であった相棒の恐竜を失って次第に衰退」


イチョウ科には少なくとも12種あったということが
化石学上推定されているが
鮮新世(5〜1.7百万年前:氷河期の直前期)までに
他の仲間はすべて絶滅して 化石になった



唯一
中国南部の浙江省天目山に生き残ったイチョウがあり
人に発見され
里に下った



私の目の前のイチョウは 学名 Ginkgo biloba
2億年前から生き残ってきた
一種で一門一科を成している
つまり
植物図鑑の「イチョウ」を開くと
オオイチョウ や コイチョウ や ヤマイチョウなどという
仲間はだれもおらず たいてい
イチョウ それだけで 1頁で おわり
まったき イチョウ だ


寝る前に 
イチョウについて
これだけのことを調べた



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イチョウは何も言わない
ただ
生きてきた 
生きている
生きていく
by skyalley | 2009-06-10 12:31 | 空の路地
緑に酔う


散歩の相棒 さこさんと
二週間ぶりの砧公園

私は朝7時の約束に
小一時間も遅刻

遠くの合歓(ネム)の大木の下で
本やノートを広げているさこさんの姿

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公園内のほとんどの木々が芽吹き
花咲き始めている中 合歓は

合歓だけは まだ目を覚ましたばかり 
その下で五月の光と風と共に 待っていてくれた

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きれいねぇ
かわいいねぇ

静かに洩れくる
さこさんの声が心地よい

マロニエも咲いた
朴(ホオ)も咲いた

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私たちは 木々に酔い
初夏の気配に酔った

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by skyalley | 2009-05-02 21:16 | 空の路地
そういえば 行った 行った


先日 散歩の相棒さこさんと
片倉城址公園というところへ行ったとき
小学生の一群に遭遇した
列の前後に先生が付いておられたが
果たして あれは一クラス分なのか 一学年分なのか

一群は高台に集合すると
先生を囲んでしゃがみ 話を聴き始めた
さこさんと私も 姿が見えぬように土手に登って
その蔭から 話を聞かせて頂いた
近所の子供達なのだろう 何度か来たことがある ということだった

「この辺りで 1300年前の土器が発見されました」
ほぉ〜〜っ ふむふむ・・・ わたしたちも聞き耳を立てる
「でも この辺りはお百姓さんの土地ですから 
勝手に掘ってはいけません はい では休憩 解散!」 
先生の指示に はじけるように 散り散りになった

すると 「ね ね かくれんぼしようよ」 と声をかける男の子があった
その言葉に 急に酸っぱいような気持ちになった
そういえば あったっけ あんな瞬間
友だちをすぐに誘いたいのだけれど 臆している間に
その子が他の子の方へ行ってしまったのを見た瞬間 

地図を挟んだ画板 
リュックサックと水筒
がちゃがちゃがちゃがちゃ
がやがやがやがや
遠い昔にそういえばあんなことがあったな

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辺りは春の草々が満開だった

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by skyalley | 2009-04-24 10:21 | 空の路地
どんぐり発芽現場

日曜日の昼を挟んで約5時間
孫息子と砧公園で遊びに遊んで
帰ってくると 
電話

散歩の相棒 さこさんからだ
「あした あなた 予定は?」
 わたし いま 植物観察会から帰ってきたばっかりなんだけれど
 そこがとてもよかったのよ
 もう 春爛漫で
 あなたが草花より木が好きなのは知っているけれど
 一年に一度のことだから ぜひ見せたいの
  あ な た に 見せたいの
  あなた どう?」

どう? も何も さこさんの期待に充ち満ちた声に
わたしは 思わず即答
「うん 行くよ」
「あ〜 よかった 
 わたし いま帰ってきたばっかりなのに
 もう あした あそこへ行くのが楽しみなの
 じゃ 朝8時に改札でね
 よろしくね!」

聞いたことのない駅名を言ってきた
横浜線の片倉
さこさんは元薬剤師 
大学時代からご縁のある教授の引率で
一ヶ月に一度 植物観察会に参加している

出不精のわたしは
人と約束をすると たいてい日時や落ち合う場所を決めた直後に
「やっぱり 行かれない・・・」 と後悔する
そのひとがいやだからでも その目的がいやだからでもない
ただ自宅近所の散歩以外の外出がいやなだけ
だが さこさんの弾んだ電話口の声が
わたしをまったく後ろ向きにさせなかった

5時半に起床し
約束の時間に駅に降り ホームの階段に来ると
うなだれて降りているさこさんの後ろ姿があった
わたしは黙って 脇に並んで階段を降り始めた
気付いたさこさん すぐに私の腕を取ってこうのたもうた
 「あったし(私 : 静かに昂奮している模様)  
  もう あれからすごく後悔しちゃって
  あんなふうに一人で昂奮して
  あなた忙しいのに こんな遠くにまで連れて来ちゃって
  よかったのかしら  すごく後悔してるの」

八王子終点の横浜線の朝は意外に混んでいて
その中で人にもまれながらも
優雅に植物図鑑を読み耽りながら
とても楽しみに来たことを さこさんに伝えた
さこさんは さかんに申し訳なさそうにしていたが
目的地の片倉城址公園に着くなり
足元の草々の名を次々に挙げていった
「あら なんだったかしら 
 昨日先生に教えてもらったばっかりなのに」
とか何とか言いながら
ついさっきまで何を後悔していたやら


 
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家から1時間で 
こんなところに誘って下さって
何を後悔することがあろう

学究肌のさこさん
上溝櫻(ウワミズザクラ)の下で
図鑑を開いて 櫻の花の付き方を確認中
すぐ忘れても 好奇心がまた図鑑を開かせる
わたしは自分を見ているよう

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さこさんが突然しゃがんだ
何かの芽が出ている・・・

それは
あの殻を破り 中の実を破り
土を持ち上げて 現れたクヌギのどんぐりだった
殻をまだ被ったまま わたしたちのいる この地上に現れた

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ふたりで地に這いつくばり
「すごいわねぇ!」
「やるねぇ!」
などと感嘆の声を交わしながら
その勇姿を撮った

孫息子を保育園に迎えに行くため
帰途につくことになった
「あした来てもいいな」 そう思った
「帰りを急かせてごめんね」とさこさんに謝ると
「いいのよ わたしは昨日だって来たんだから
 あした来てもいいくらいだけれど」
と応えてくれた

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by skyalley | 2009-04-21 11:43 | 空の路地