触ることからはじめよう
by skyalley
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「蕾(つぼみ)」 という漢字

小学校4年生の優衣さんと書の勉強をしました
手習いをしたあと
教室に活けてある二分咲きの桜を見てもらい
優衣さんにどんなふうに感じたかを訊いてみました

ずっと首を傾げて座って桜を見ていた優衣さん
「う〜〜ん・・・  つぼみがかわいいです」
「そうだね かわいいね
 あの中に何が入っているのだろう」
「花・・・?」
「そうだね 花だね じゃ 花は何でできている?
 近づいていって観てごらん」

こんどは立ち上がって桜を目の当たりにした優衣さん
「はなびらと 何か真ん中に小さいほわほわしたのがいっぱいあります」
「そうだね はなびらは何枚かな?」
顔を近づけて数え「五枚」
「そうだね 
 すごいね  
 あんな小さな袋の中に 
はなびらが五枚も折れないようにきれいに入っていて
それからおしべとめしべ・・・・ おしべとめしべって習った?」
「まだです」
「そうか 真ん中のたくさんの小さなのはおしべ・めしべっていうの
 それがぎゅっと詰まっているんだね」

こんなやりとりのあと
ノートに感じたことを書いてもらいました
「つぼみが・・・」と書いたところで優衣さんに「つぼみ」の漢字を
国語辞典で引いてもらいました
私はその漢字を知っていましたが
あらためて字の作りを見てみると草冠の下に雷・・・ ん? 雷?
なぜつぼみに雷が関係あるのだろう 
とても不思議になって
漢和辞典(『字通』白川静 平凡社)を引いてみました

「陰陽相ひ薄(せま)り 感じて雷と為る」
「その現象は正確に理解されていた」とありました

 
「蕾(つぼみ)」 という漢字_f0085284_82249.jpg


今 私たちは雷を雨冠に田と書いています
けれど4500年くらい前の古代中国人は
陰(−)と陽(+)の働きを知っていて
雷はそれを象形にしたということですから
田 ではなく 
陰陽の活力がぎゅっと詰まっている場を描いている形であった
ということがわかりました

隣でフランス語を勉強していた会社員の絵美さんもびっくり
つまり 「蕾」という漢字は
すごいエネルギーがせめぎ合っている小さな草の袋
という意味だったのです
確かに! 確かに!

優衣さんのおかげで
あらためて感動を持って「蕾」という字を書き
芽吹きを待っているたくさんの桜の蕾を観
戸外のたくさんの蕾を想うことができるようになりました
by skyalley | 2007-03-01 08:05 | こころへ教室日記
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