触ることからはじめよう
by skyalley
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小出裕章先生「知足」



・・・私たち人類がエネルギーをたくさん使うようになったのは
18世紀末から19世紀はじめにかけて
「産業革命」が起きてからのことです
中でもジェームス・ワットが蒸気機関の改良に成功したことは
人間の生活を劇的に変えました


それまで動力源として使っていた家畜も奴隷ももういらない
「湯気」さえ起こせば機械が動くということで
莫大なエネルギーを使いながら生きていくようになったのです
やがてその中に電気も不可欠なものとして加わっていきます


産業革命が起きたのは今から200年前です
地球の歴史46億年を1年に縮めると
産業革命が起きたのは大みそか12月31日の11時59分59秒です
地球という星から見れば刹那的ともいえるくらいのわずかな時間の中で
私たち人間は急激に今のような”便利な”生活をするようになりました


産業革命以後の200年間で
私たちが使ったエネルギーはどのくらいの量でしょうか


人類という生き物が地球上に誕生したのは400万年前と言われています
その400万年で人間が使ったエネルギーの総量のうち
産業革命以降の200年間で消費された分は全体の6割を超えます


そして私たちは
「便利な生活を維持したい」という一念に駆られて
原子力発電という人間の能力では処理しきれない技術を進めるようになりました
福島の事故は 
それがいかに恐ろしいことなのかを見せつけてくれています


今後私たちは日常的に無意識に使っているエネルギーが
本当に必要かどうかを真剣に考え
エネルギーを浪費する生活を改めざるをえなくなるでしょう


いったい 
私たちはどれほどのものに囲まれて生きれば幸せといえるのでしょうか
人工衛星から夜の地球を見てみると
日本は不夜城のごとく煌々と夜の闇に浮かび上がります
建物に入ろうとすれば自動ドアが開き
人々は階段ではなくエスカレーターやエレベーターに群がります
冷房をきかせて 夏だというのに長袖のスーツで働きます
そして電気をふんだんに投入して作られる野菜や果物が
季節感のなくなった食卓を彩ります


日本を含め「先進国」と自称している国々の人間が
生きることに関係のないエネルギーを膨大に消費する一方で
生きるために必要最低限のエネルギーすら使えない人々も存在しています


残念ではありますが
人間とは愚かにも欲深い生き物のようです
豊かさや便利さを追い求めながら
地球温暖化 大気・海洋汚染 森林破壊 酸性雨 砂漠化
産業・生活廃棄物 環境ホルモン 放射能汚染
さらには貧困 戦争など 多くの”人災”を引き起こして
地球の生命環境を破壊しています


種としての人類が生き延びることに価値があるかどうかは
私には分かりません

しかし もし安全な地球環境を子どもや孫に引き渡したいのであれば
その道はただ一つ
「知足」しかありません
代替エネルギーを開発することも大事ですが
まずはエネルギー消費の抑制にこそ目を向けなければなりません


一度手に入れてしまった贅沢な生活を棄てるには
苦痛が伴う場合もあるでしょう
これまで当然とされてきた浪費社会の価値観を変えるには
長い時間がかかります


しかし世界全体が持続的に平和に暮らす道がそれしかないとすれば
私たちが人類としての新たな叡智を手に入れる以外にありません



京都大学原子力実験所 助教 小出裕章
『原発のウソ』(2011 扶桑社新書094)
最終章 最終頁より


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 吾唯知足 
 吾(われ)唯(ただ)足(たるを)知(しる)
by skyalley | 2011-07-19 12:59 | 一枚の葉を森へ(no nukes)
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