触ることからはじめよう
by skyalley
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
死ぬ 生きる


まだ余震の続いていた朝
食事を終えた颯太がふいに私に訊いた

 ね ね そうちゃんがおじいさんになったら
 かっくんは もうしんでる?

   そうだね しんでるね

そのやりとりを出かける支度に勤しんでいた娘が小耳に挟み

 かあさん やめてよ そういう話
 そういうのって けっこう怖いんだからぁ

そう言うと 早々に食堂を出て行った

私はあらためて颯太の隣に座って
そこにあった薬の袋の裏に言葉を書きながら
颯太に問うた

    颯太 生きてるってことは?
  死ぬこともあるってこと?
    うん そう 生きているものはみんな死ぬんだ
    じゃ かっくんは目に見えてる?
  うん 見えてる
    じゃ みぃちこちゃん(私の妹)は見えてる?
  みえない
    でも 声は聞こえる?
  うん きこえる そうたぁ そうたぁ っていってる
    みぃちこちゃんのかおは見える?
  みえない でも そうちゃんのこころにいるよ
    そうだね みぃちこちゃんは颯太の心にいつもいるね
    だって 「たいせつなものは?」
  「めにみえないんだ」
    そうだね 死んだら目には見えなくなるんだよ
    でもこころにはちゃんといるの
    いつでもいるの
    かっくんのお父さんとお母さんはもう死んじゃったの
    でも いつもかっくんの心の中にいる
    死んじゃったけど かっくんの心の中に生きているの
    わかる?
  わかった じゃ さ

何を言い出すのかと思ったら
私が持っていたペンを取って
「さ」と「き」字を書いた 
そして 「さ」の一画目を指しながら

 いっぽんせんがあるってことは
 にほんせんもあるってことだね

と「き」の一画目を指さした


死ぬ 生きる_f0085284_18275131.jpg



 
by skyalley | 2011-03-18 18:30 | 孫息子・颯太言葉ノォト
<< 絵本「いくいりぶりあむ」 「ピラミッドぉ できたよぉ!」 >>