触ることからはじめよう
by skyalley
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「七人のgooglers」 アメリカから来室




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昨年アメリカのGoogle社に入社したばかりの20代 男女7名が
「こころへ教室」へワークショップを受けにやってこられる
という珍事が 20日の日曜日にあった


Googleで検索して得られるような情報ではお気の毒だ
この小さな教室にご縁があったことを喜んで下さるように
書を通して 日本文化の一端を話したいと思っていたが
秀才揃いの若者達に対して 私の英語力で賄えるかどうか
情熱だけたっぷりあってもねぇ と案じていたら
強力な助っ人として
司会をお引き受け下さった翻訳家で日本通のAdamさんが
「大丈夫 彼らが本当に賢いなら
 あなたの状況を察して 手助けしてくれるから」と言って下さった


そうか 彼らは私が迎え撃つ相手ではなくて
私のワークショップを助けに来て下さる方達なのだな
Adamさんのお蔭で見方を逆転したら その日がずっと楽しみになった
アメリカからの「七人の侍」は前日の夕方来日 
ワークショップ日の午前中は自由行動
それから温泉班と書道班に分かれての日本研修
20代のGooglersは 朝飯前に浅草や銀座まで行ったそうだが
まとめ役のBradさんは やっとの思いで皆を集め 
一時間遅れで ようやく一同集合となった


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まずは
Googlersのやってきたこの時季「梅雨」について話すべく
前夜揮毫しておいた俳句を見て頂いた


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futokoro ni chibusa aru usa tsuyu nagaki    Nobuko


男性の性愛の対象である乳房は
女性自身にとっては自愛の対象でもありえようが
時として鬱陶しいもの
その思いを梅雨の鬱陶しさと重ねた句だ
直接に梅雨の時季の鬱陶しさを言わず
「乳房」と「雨」
 一見関わりがなさそうな言葉の組合せを活かす表現


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移動の多い彼らには好都合に 当日は終日曇天だったが
この陰々滅々とさせがちな雨が
実は米作りにとっては慈雨であることを話した
すると司会者のAdamさんが 
酒・味噌・醤油にとって欠かせない麹菌についても言及して下さった
 (ソンナコト カンガエタコトモナカッタ) 驚いている私
教室の隅で待機していた友人の千秋さんからも
ヤヤヤ マスマスオモシロクナッテキタゾ! という気配が届く


俳句に見られる滑稽・挨拶・即興
また黒澤明や宮崎駿の作品に貫かれる
見えぬ部分に目を凝らす姿勢
最初から左右対称で設計される西欧の教会建築とはちがって
設計図無しで建て増しされていった法隆寺や「ハウルの動く城」
加藤周一が日本文化の特長の一つとして提示した「いま・ここ」
これらは日本文化の美学に通底する特徴
そんなことを駆け足で
写真や書の作品を見て頂きながら 説明を試みた


いよいよ筆を執って
彼ら自身に書を体験してもらう時間とした
私の話の間にみんなに墨を摺ってもらっていた
教室への道中 好きな言葉や座右の銘などを
考えてもらうようにも頼んでおいたが
最初は各自の名前をカタカナで
それから一人一語を揮毫


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 「一期一会」
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 「今此処」
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 インド出身の男性はその姓の意味する「月を制する者」 


新しい過ちはよいが 同じ過ちをするな という言葉を
という戒めの書をご希望の方には
「同じ石に二度転びは 首を折るのも同じこと」という言葉を
英日諺(ことわざ)辞典で提示すると大笑いして 「こりゃ いい!」
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別の男性は 自分で見つけた漢字を書きたい と仰るので
英語・漢字辞典を手渡したら その中から一字を見つけてきた

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「糖」
「なぜ 糖?」
「ケーキとか 甘いものが大好きだから」
揮毫する字はそれなりの風格と内容をと思っていた私を愉しませて下さった


カタカナで表された自分の名前だけを
何度も何度も練習している女性もおられた
25℃に設定しておいた部屋の温度は
彼らの熱気ですぐに上昇 冷房を23℃に下げて「強風」設定
予定の2時間を過ぎ お開きとなった


この話を頂いたのは4日前だった
教室で書を共に学んでおられる南方綾子さんからのご紹介だった
彼女の娘婿さん BradさんはGoogle日本支社にお勤めとのこと 
以前 彼の妹さん また追って弟さんご夫妻が来日した折に
綾子さんと一緒に教室に見え 書の触りを愉しんで頂いたことがあった
そのことが兄のBradさんに伝わり 
今回の新入社員アジア研修の一部として
私の教室でのワークショップを思いついて下さったのだ


来る者拒まず を旨としているが
大掃除から花を活けたり 
何よりワークショップのための英文資料を作ったり
書の作品を書いたり 7人分の道具を揃えたり と
楽しみを自家培養しつつ
結局当日の朝3時まで掛かって準備をした
が 例によって提供させて頂いた以上のことを頂いた


ワークショップに際し 細々ご心配下さった南方綾子さんに
小さな教室を信じて若者を寄越して下さったBradさんに
彼に
重量たっぷりの美味しいスコーンを焼いて持たせて下さった
妻でクラリネット奏者の華子さんに
常に当意即妙の補足を加えて 
ワークショップに厚みを付けて下さった司会者のAdamさんに
お話を頂いたとき すぐに当日の手伝いをお願いすると
なになになに?! と 仕事帰りに早速私を訪ねて下さり
共に成り行きを愉しみ Googlersの手助けをして下さった千秋さんに
よい文房を提供して下さった骨董店「独楽」の寺嶋さんに
そして
仕事が休みの日であったにも拘わらず
掃除・洗濯を朝から精力的に済ませてくれた娘に
また ビデオ編集の仕事がありながら
早朝まで資料を印刷してくれた我がオットに


そして この繋がりを実現させて下さった
見えないモノ・コト・ヒトに


感謝 !


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by skyalley | 2010-06-24 18:03 | こころへ教室日記
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