触ることからはじめよう
by skyalley
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『日本政府への米国政府の年次改革要望書』

つい今しがたまで
現日本エッセイストクラブ理事長であり
半世紀をジャーナリストとして過ごされ
87歳の今日まで 多くの経財界人と直接関わり
政府の高官・次官・大使を友とされる村尾清一氏と
一週間後に迫った総選挙について話を伺っていたら
あまりに現実を知らな過ぎたことを今更ながらに知らされた
私が村尾氏から教えて頂いたこと
その後 知り得たことを記しておこうと思う


村尾氏は 最初に一冊の本の名を出された
2004年に文藝春秋社から出版されてから
今では20数版を重ねているという新書だ

『拒否できない日本』関岡英之著(文春新書 2004)

著者の言葉を文藝春秋のサイトからご紹介する

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これから数年後の日本に何が起きるか。
それを知りたいとき、必読の文献がある。
『日本政府への米国政府の年次改革要望書』という文書を
ご存知だろうか。
通信、エネルギー、金融、流通。さらには医療制度や薬事制度、
公正取引委員会と独占禁止法、商法、司法制度改革、
構造改革特区、郵貯をふくむ公益法人の民営化政策。
個別産業分野から一国の立法、行政、司法に及ぶ
あらゆる分野に関して、
アメリカのなまなましい要求事項が網羅されている。
アメリカ政府が毎年公表しているものだが、
日本でそれを知る人は少ない。

この文書は
一九九三年の宮沢・クリントン両首脳の合意を契機として、
翌九四年以来毎年十月に定期的に発行され、
今年でちょうど十周年を迎える。
それは単なる形式的な外交文書でも、退屈な年中行事でもない。
アメリカ側の要求項目は、
日本の各省庁の担当部局に振り分けて検討され、
やがて審議会にかけられ、
法改正や制度変更によって着実に実現されてきた。
そしてこれらの外圧の成果は、
アメリカ通商代表部の『外国貿易障壁報告書』によって
毎年三月にアメリカ連邦議会に報告されているのである。

これは「制度化された内政干渉」としか言いようのない、
異常な事態だ。
だがすべてアメリカ側の公式文書で公開されている、
まぎれもない事実である。
 
ここ数年、日本とアメリカとのあいだには
通商問題をめぐる摩擦がほとんど聞こえてこない。
だから外圧の悪夢は
とっくに過去の話と思いこんでいる人が多いだろう。
ところがこの内政干渉システムは
党派を超えて現在のジョージ・W・ブッシュ政権にも引き継がれ、
通商問題とは次元を異にする、
より国家の本質にかかわる分野に焦点を移しつつ
活用され続けているのである。

現に昨年十月にも『年次改革要望書』の最新版が発行されている。
アメリカはこの便利な対日圧力のシステムを
簡単に手放す気などまったくないのだ。

民主党のクリントン政権はこのシステムを
「強化されたイニシアティブ」と称していたが、
現ブッシュ政権はそれを「改革イニシアティブ」という、
もっと人聞きの良いものに改称した。
さらに政府による直接的な外圧の色彩を薄めるためか、
両国の財界人も協議に加わる官民合同方式に改められ、
ついでに『要望書』の英文タイトルも
SubmissionからRecommendationsに変更された。
前者は「服従・従順」、後者は「推奨・勧告」と辞書にある。

要するに民主党流の威圧的な対日交渉スタイルから、
政府の介入を少なくとも
表向きは否定してみせる共和党好みの流儀に変更されただけなのだ。
 
(中略)

『年次改革要望書』を介して、
アメリカ政府がこれまで日本に対してしてきたことは、
一貫してアメリカ自身の国益の追求、
つまりアメリカの選挙民や圧力団体の利益の拡大、
ということに尽きる。
そのこと自体に怒りを投げつけてみてもはじまらない。
自国の利益を極大化するために
あらゆる国家戦略を駆使するのは為政者の当然の責務である。
彼らは定石を打っているに過ぎないのだ。
問題は、他国の干渉に迎合してきた結果の利害得失を、
自らの国益に照らして歴史的に検証するシステムが
我々の側に欠如していることだ。
本書を通じて、その必要性を少しでも感じて頂ければ有り難い。

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村尾氏は語った

   「米国政府の日本政府に対する年次改革要望書」が
   日本の構造改革の指導書だったんだ
   橋本内閣以後の構造改革は
   アメリカの利益のために作られたこの要望書通りに行われてきたの
   小泉首相は、この最も熱心な実行者だった
   だから彼の推進した構造改革のバイブルも もちろん
   アメリカの日本政府に対する年次改革要望書だったわけ
   小泉はアメリカの使いっ走りに過ぎないってことが
   よくわかるでしょ
   知らないのは国民だけだ

   『拒否できない日本』の初版は三日で完売したそうだよ
   自民党員がみんな買っているんじゃないかと
   文春の奴が言っておった

   民主党の議員が国会で小泉に
   改革はアメリカの指導によるものか と訊いたことがあるの
   竹中ね あれは 「見たこともない」と言ったんだよ
   小泉は 「それは思い過ごしだ」 と答えたんだ
   小泉政権だ 麻生政権だと言ったって 
   ブッシュの出先機関だったんだよ

   アメリカ大使館のホームページでさえ見られるっていうのに
   日本じゃ 大新聞も雑誌も「年次改革要望書」は禁句を決め込んでる
      
   品川さん(第5回の徳談会講演者 品川正治氏)も
   もうとっくに自民党を見限っていると言っておったでしょ
   彼の話では  
   アメリカと仲よくさえしていれば儲かっていた財界の大物でさえ
   この頃では品川さんに尻尾を振り出したそうだよ

そして最後に村尾氏はこう仰った

   他の人は知らんが
   僕は今度の選挙は 民主党がどうこうということじゃない
   もう今までの自民党ではだめだ ということを
   はっきり示すための選挙だと思う
by skyalley | 2009-08-22 21:53 | 徳談会日記
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