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古書店で出会った『子どもの体と心の成長』は シュタイナー教育運動の代表者として ヨーロッパ各地で精力的な講演活動をした ドイツのカロリーネ・フォン・ハイデブラント (1886〜1938)によって 1939年に出版されました シュタイナー幼児教育書の古典として 常に第一にあげられるそうです 本の裏表紙には ハイデブラントの次のような言葉 教育者が 自然への愛をとおし 自然への沈潜をとおし 芸術的な直観をとおして 自分のなかの詩人に命を与えることによって 正しいしかたで子どもに 周囲の世界を意識させることができる ちょうど孫息子の颯太が 文字に興味を持ち始めたことを 那須に暮らす妹と話していたときでした 妹に 「シュタイナーが 7歳までは文字を教えてはならない って どこかに書いていたけれど なぜだか知っている?」と 訊かれたとき 私はその事実も 答も知らなかったのです その答への導きが書かれているのでは と予感して 読み始めたのでしたが 果たして そこには こんなふうに書かれていました 子どもの意識をあまりに早く目覚めさせて 心を夢見るように眠らせる時間 遊ぶ時間を与えないと 子どもをあまりに早く老けさせる種を撒いたことになります 意識は生命を犠牲にすることによってのみ 発展するからです 就学年齢以前に つまり永久歯が生える前に 知性や記憶力を育成すると それらは身体から花咲く 自然で有機的な能力にはなりません それらは子どもの身体を形成、構築すべき生命力を 奪うことになるのです そのような子どもは 早熟で こましゃくれた印象を与えます 青白く、鋭敏で、老人のような顔をし、 神経質な動作をする子どもになります 驚くような問いを発したり、答をしたりするのですが 喜ぶということがない子どもになるのです (p。105) もとより 妹も私も シュタイナーを信奉しているという訳ではありません でも 1919年に開校された最初のシュタイナー学校の教師で シュタイナーに「生まれながらの教育家」と言われた このハイデブラントの考え方には説得力がありました 私は 颯太の好奇心の様子を しばらく見守ることにしました そんなある日 時折訪ねる古物商「独楽(こま)」さんの女主人から 孫娘さんの「葉乃(はの)」ちゃんの手習いについて 問い合わせを頂きました 「3歳なんです 字に興味を持つようになって お勉強というのは まだまだとは思うんですけど そちらのお教室で 何か学べますか」 葉乃ちゃんは お父さんが読んでいる新聞紙面上に 自分の名前を表すひらがなをみつけると 「はぁちゃんの[は]があったよ!」 「あっ はぁちゃんの [の] もあった!」と 嬉しそうに指さすそうです とはいえ 今から字を教えるというのもねぇ・・・ 葉乃ちゃんのお母さんも 同じお考えとか はてさて どうしたものでしょう ついこの前 颯太の文字への導きは 彼の好奇心の様子見 と決めたばかりでしたが 葉乃ちゃんの 自分の名前の字との出会いを喜ぶ様子を思い浮かべるうちに よい考えが浮かびました 颯太が片言を話すようになった頃 私は フランスでの象形文字のワークショップで使った作品を 彼のために スクラップ・ブックに収めてみました 彼に「読ませる」のではなく 「見せて」みると 象形文字の「月」を観て 「おっちゅきしゃ〜〜ん」と言い 象形文字の「立」を観て 「たっち〜」 と言いました 古代中国の人が思いや考えを残さんと あるいは伝えんとして 自然の姿に倣って創案した形の醸し出す力が 約4500年を経て 颯太に伝わったことに 私たち家族は あらためて驚いたものでした これが「あ」だ これが 「い」だ と教え込んだら 教えられた方は 覚えることしかできない 文字の世界で遊び 遊びの中から 幼い者たち自身が文字を創れるかもしれない そんなことを思ったら楽しみになってきて 「独楽さん」に電話をしました ぜひ葉乃さんと 颯太と いっしょに遊ばせて欲しい と 独楽さんは とても喜んで下さって 早速 娘さんに話が届き 6月最後の日 二組の母子の 初めての手習いとなりました さてさて 実際のところは如何に? 葉乃ちゃんの反応は? 颯太の反応は? 次回の記事で詳細をご披露します
by skyalley
| 2009-07-02 01:34
| こころへ教室日記
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