触ることからはじめよう
by skyalley
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アオシギタツ
近所の「鈴木園芸」さんで
若緑のうつくしい楓を購めた
名札に 「アオシギタツ」 とあった
    アオシギタツ・・・
店の晴ちゃんに 名の由来を尋ねた
 アオ シギタツ?
 アオシ ギタツ?
 アオシギ タツ?
 アオシギタ ツ?
二人で首を傾げながら 笑いながら和した

晴ちゃんのご母堂に譲って頂いた鉢に 
仕事が終わった夜11時
常夜灯の前に土やらスコップやらを持ちだして 
いそいそと植え替えた
アオシギタツ 
アオシギタツ
あなたはだれ?

アオシギタツ_f0085284_833069.jpg


苔にたっぷりと水をやってから
家に入り 名の由来を調べた
歌人の西行が 文治2年(1186)奥州平泉に向かう途中
相模の国 今の藤沢市大庭を過ぎた夕方
彼が詠んだ歌からの命名ということが判った

        心なき身にも哀れは知られけり鴫立沢の秋の夕暮れ


歌意は 西行が 道を急いでいた夕暮れ時
ひとの気配に驚いてか 
羽音を残して飛び立っていった鴫のいなくなったあと
いっそうの静寂を感じた
そこに 晩年を迎えた西行は  
晩秋のたたずまいに 自らの死と重ね合わせて
無常観 寂寥感 人生のはかなさを感じた と

また楓には 
万葉集や古今和歌集などの和歌にに因んで
命名された名が多い ということもわかった
あの楓の 明るい というより
どこか寂しさが漂っている風情は
青さ(早緑)とともに印象深い
私もそれに惹かれて 手に入れた

藤原定家 寂蓮が「秋の夕暮れ」を題として詠み
いずれも「新古今集」に取り上げられて
後世「三夕の歌」として有名だそうだ
那須の妹に その話をしたら
彼女はすぐに 「こころなき」の歌を電話口で諳んじた
そういえば 古典に強いひとだったっけ

数日後 野菜の苗を買いに「鈴木園芸」さんを訪ねたとき
まず晴ちゃんに  楓の名の由来を話した
途中から話に加わったご母堂
西行のその歌を その場で諳んじた
オソルベシ 西行の人気 
アリガタシ 素養のひとびと
ウルワシヤ 青鴫立(アオシギタツ)
by skyalley | 2009-04-26 21:34 | ひと
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